一般社団法人の登記事項の一つに『主たる事務所の所在場所』があります。
会社に置き換えると『本店の所在場所』のことです。
今回のブログでは、主たる事務所の所在場所の表記方法について、注意点・よくみかける間違い・覚えておくと良いことを解説します。
簡略表記は避ける(正式な表記で記載する)
例:
主たる事務所
千葉県浦安市北栄5-12-34
上記は、ご自身で設立登記を申請したり、行政書士に設立登記の申請を頼んだ(注)というお客様の登記簿謄本でよく見かけます。
(注)行政書士が登記申請をする行為は犯罪です。行政書士が本人申請を装って手続を行うのも同様です。
簡略表記でも登記はとおります。
また、間違いか、と聞かれると明確に間違っているとまでは言えません。
しかし、以下の理由でお勧めできません。
・金融機関、役所、取引先などから見て設立に専門家(司法書士)の関与がないことが明らか(かけるべきところにお金をかけない会社という印象を与えてしまう可能性がある)
・そもそも見栄えがよくない
ただしく、
千葉県浦安市北栄五丁目12番34号
と記載しましょう(※『五』が漢数字になっているのは誤りではありません)
番地なのか番なのか(住居表示が実施されているのか)
例:
主たる事務所
千葉県浦安市北栄五丁目12番地34号
上記の表記はどうでしょうか?
このパターンも割とよく見かけます。
設立の際のご事情を伺うと、やはりご自身で登記しているか、行政書士に登記の依頼をしたというケースが殆どです。
先程とは異なり、こちらは明確に間違いです。
上記の住所、正確な表記は、
千葉県浦安市北栄五丁目12番34号
となります(実在しない住所ですが)
番地なのか番なのかというのは、ざっくりいうとその住所が住居表示の実施された場所なのかどうかという違いです。
住居表示実施前のエリア→番地 表記(※番地表記の場合は、住所自体に号はつきません)
住居表示実施後のエリア→番+号 表記
正確な表記は市区町村の役所へ問い合わせると教えてもらえます。
建物の一室やワンフロアを借りている場合の登記方法
最後に建物の一室やワンフロアを借りている場合に是非覚えておいていただきたいことを解説します。
例:
主たる事務所
千葉県浦安市北栄五丁目12番34号鈴木ビル201号室
上記のうち、
鈴木ビル201号室
の部分(建物名・部屋番号)を方書といいます。
この方書(建物名や部屋番号)を登記するかどうかは任意です。
方書がなくても郵便物が届く場合は、方書を省略しても差し支えありません。
登記上は次のいずれの方法で登記することも可能です。
•千葉県浦安市北栄五丁目12番34号
•千葉県浦安市北栄五丁目12番34号鈴木ビル
•千葉県浦安市北栄五丁目12番34号201号室
•千葉県浦安市北栄五丁目12番34号鈴木ビル201号室
借りているビルの名前が、ビルのオーナーチェンジ等に伴って「佐藤ビル」に変更されてしまうことがあります。建物名を登記している場合は、ビル名の変更に伴って変更の登記を申請しなくてはいけません。自己都合ではない変更ですが、変更登記の申請には登録免許税が3万円かかります。
法人設立当初はスタッフの人数も少ないので一番狭い201号室を借りていましたが、法人の拡大に伴い201号室では手狭になってしまったため、より広い301号室に主たる事務所を移転しました。部屋番号まで登記をしている場合は、移転に伴いその登記を申請しなくてはいけません。変更登記の申請にはやはり登録免許税が3万円かかります。
上記いずれの場合も、方書を登記していない場合は、変更の登記は不要です。方書を省略しても会社宛の郵便物が問題なく届くことが前提になりますが、後々の可能性を踏まえて、方書を省略することを検討するとよいでしょう。
まとめ
今回のコラムでは、
・簡略表記は避ける(正式な表記で記載する)
・番地なのか番なのか(住居表示が実施されてるのか)
・建物の一室やワンフロアを借りている場合の登記方法
について解説しました。
主たる事務所の表記ひとつとっても気を付けなければならないことがあります。
特に設立時は沢山の決定事項がありますので、専門家の支援が必要な際は、是非弊所へのご連絡をお待ちしております。
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