一般社団法人の理事を改選するときの手続きとは?
― ケース別に必要書類と注意点をわかりやすく解説!
「えっ、もう2年経ったの?」「そういえば、理事の任期って2年だったよね…?」
…気づけば任期が終わっていて、急いで登記手続きの準備を始める。
そんなご相談、実はとても多いんです。
一般社団法人の理事の任期って?
原則として、理事の任期は2年とされています(※定款で短縮はできますが、伸ばすことはできません)。
正確には、以下のように定められています:
選任後2年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時社員総会の終結の時まで
つまり、実際の任期は2年よりも短くなることもあるので注意が必要です(設立時や新規就任時は特に注意が必要)。
任期の管理、ちゃんとできていますか?
理事の任期を正しく把握しておかないと、知らない間に任期切れになっていた…ということも。
そのまま放置してしまうと、法人の運営に思わぬ支障が生じる可能性があります。
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手続きの分かれ道はこの2つ!
一般社団法人の理事改選手続きは、以下の2点を確認することから始まります:
- 理事会を設置しているかどうか
- 定款で代表理事の選定方法が定められているかどうか
この2点の組み合わせによって、必要な会議や書類、登記の方法が大きく変わってきます。
STEP 1:理事会を設置している? | |
Yes ➡ 社員総会+理事会で選任・選定(ケース①) | No ➡ STEP 2へ |
STEP 2:定款に代表理事の選定方法の定めがある? | |
Yes ・「理事の互選による」➡ ケース③ ・「社員総会で選定する」➡ ケース② | No ・社員総会で代表理事を定める➡ ケース② ・定めない場合は全員が代表理事 |
ケース①:理事会を設置している場合
このケースでは、理事の改選は社員総会で、代表理事の選定は理事会で行います。
手続きの流れ
- 計算書類の作成
- 定時社員総会の招集決定(理事会で決議)
- 定時社員総会の招集通知(書面で通知)
- 定時社員総会の開催(理事の選任)
- 理事会の開催(代表理事の選定)
- 必要書類の作成・収集
- 登記申請
※定時社員総会の招集手続き・必要な決議等については、後半であらためて詳しく解説します。
ケース②:理事会なし/代表理事を社員総会で選定する場合
このケースでは、理事の選任と代表理事の選定を、どちらも社員総会で行います。
手続きの流れ
- 計算書類の作成
- 定時社員総会の招集決定(理事の過半数による決定)
- 定時社員総会の招集通知(原則、口頭による通知も可)
- 定時社員総会の開催(理事の選任・代表理事の選定)
- 必要書類の作成・収集
- 登記申請
※定時社員総会の招集手続き・必要な決議等については、後半であらためて詳しく解説します。
ケース③:理事会なし/定款規定に基づき代表理事を理事の互選で選定する場合
このケースでは、社員総会で理事を選任し、その後、理事同士の互選で代表理事を選定します。
手続きの流れ
- 計算書類の作成
- 定時社員総会の招集決定(理事の過半数による決定)
- 定時社員総会の招集通知(原則、口頭による通知も可)
- 定時社員総会の開催(理事の選任)
- 理事の互選(代表理事の選定)
- 必要書類の作成・収集
- 登記申請
※定時社員総会の招集手続き・必要な決議等については、後半であらためて詳しく解説します。
定時社員総会とは?
定時社員総会とは、毎事業年度ごとに必ず1回開催しなければならない社員総会のことです。
一般的には法人税の申告期限との関係で、事業年度終了後2か月以内に開催し、法人の計算書類等について社員の承認を得ます。
定時社員総会で取り扱う主な事項
- 事業報告
- 計算書類の承認(貸借対照表・損益計算書その他付属書類等)
- 理事の選任
- (監事の選任)※監事の任期が満了する年は、監事の改選手続もお忘れなく!(基本的に理事の改選手続きと同じ流れです)
- (代表理事の選定)※以下のケースのみ
- 定款で代表理事を「社員総会で選定する」と定めている場合
- 理事会がない法人で、代表理事の選定方法について定款に記載がない場合に一部の理事のみを代表理事としたい場合
なお、社員総会の開催には、招集手続きの適正性・定足数の確保・議決要件の確認など、
形式的にも注意すべきポイントがあります。
これらの詳細は、次の章以降で順を追って解説していきます。
定時社員総会の招集手続き
定時社員総会を開催するには、まず日時・場所・議題などを決定し、社員に向けて正式な招集通知を出す必要があります。
この手続きは、法人の機関設計や定款の定めによってルールが異なります。
決定するべき事項(招集の決定時)
- 社員総会の開催日時・場所
- 社員総会の目的である事項があるときは、当該事項(例:事業報告、計算書類の承認決議、理事の選任決議・代表理事の選任決議など)
- 書面や電磁的方法での議決権行使を認めるかどうか
※書面や電磁的方法による議決権行使を認める場合には、招集通知の期限が2週間前に延長されるほか、参考書類の交付義務が発生します。
招集を「決定」する機関
- 理事会設置法人:理事会の決議で招集を決定
- 理事会を設置しない法人:理事の過半数による決定
通知の「期限」
- 原則:開催日の1週間前までに通知
- 例外1:定款で短縮可能(理事会を設置しない法人のみ)
- 例外2:書面・電磁的方法で議決権行使を認める場合は2週間前までに通知
通知の「方法」
- 原則:口頭でもOK(法令上は書面による通知不要)
- 例外:以下のいずれかに該当する場合は書面での通知が必須
- 理事会を設置している法人
- 書面・電磁的方法による議決権行使を認める場合
招集省略の可否
社員全員が同意すれば、招集手続きは省略することができます。
ただし、議決権行使を「書面や電磁的方法」で認める場合には、省略はできませんので要注意です。
定時社員総会の開催と決議
招集通知で定めた日時・場所にて、定時社員総会を開催します。
定足数及び決議要件
- 原則:議決権を有する社員の過半数が出席し(定足数)、出席した社員の議決権の過半数で可決されます。
- 例外1:定款で定足数や決議要件を変更している可能性があります(必ず定款をチェックしましょう)
- 例外2:特別決議の必要な決議を行う場合は、要件が厳しくなる(本コラムに記載の決議はすべて普通決議でOK)
ケース別:登記に必要な書類
法人の機関設計や代表理事の選定方法によって、必要となる書類は異なります。
以下にケースごとの一般的な添付書類をまとめました。
ケース①:理事会設置あり
- 社員総会議事録(理事の選任)
- 理事会議事録(代表理事の選定)
- 就任承諾書
- 印鑑登録証明書
- 本人確認証明書
※ 就任承諾書については、議事録に席上就任承諾した旨の記載がある場合は省略可能
※ 代表理事の就任承諾書に押印された印鑑についての印鑑登録証明書が原則必要(ただし、再任の場合を除く)
※代表理事を選定した理事会議事録に押印された出席理事・出席監事の印鑑についての印鑑登録証明書が原則必要(ただし、改選前の代表理事が理事会議事録に登記所へ届け出ている印鑑で押印している場合は不要)
※ (代表理事を除く)新任理事は本人確認証明書の提出が必要(本人確認証明書については、法務省:添付書面としての本人確認証明書及び旧氏の併記についてを参照ください)
ケース②:理事会なし/代表理事を社員総会で選任
- 社員総会議事録(理事の選任・代表理事の選定)
- 就任承諾書
- 印鑑登録証明書
※ 就任承諾書については、議事録に席上就任承諾した旨の記載がある場合は省略可能
※ 理事の就任承諾書に押印された印鑑についての印鑑登録証明書が原則必要(ただし、再任の場合を除く)
※代表理事を選定した社員総会議事録に押印された押印者の印鑑についての印鑑登録証明書が原則必要(ただし、改選前の代表理事が社員総会議事録に登記所へ届け出ている印鑑で押印している場合は不要)
ケース③:理事会なし/代表理事は理事の互選
- 定款
- 社員総会議事録(理事の選任)
- 理事の互選書(代表理事の選定)
- 就任承諾書
- 印鑑登録証明書
※ 就任承諾書については、議事録・互選書に席上就任承諾した旨の記載がある場合は省略可能
※ 理事の就任承諾書に押印された印鑑についての印鑑登録証明書が原則必要(ただし、再任の場合を除く)
※代表理事を選定した互選書に押印された理事の印鑑についての印鑑登録証明書が原則必要(ただし、改選前の代表理事が互選書に登記所へ届け出ている印鑑で押印している場合は不要)
手続き案内・書類作成・登記申請もお任せください
司法書士森成事務所では、一般社団法人の役員改選手続きのサポートを行っております。
決算日の前後にご連絡をいただけましたら、定款・謄本を確認のうえ、
貴法人に必要な手続きを丁寧にご案内いたします。
【基本対応】
- 必要な手続・ご準備いただく書類のご案内
- 登記添付書類(社員総会議事録・理事会議事録・就任承諾書など)の作成
- 役員変更登記の申請
【オプション対応】
- 社員総会招集支援(社員総会招集通知の作成)
なお、議事録の作成方法や押印対応を誤ると、登記申請後に補正になるだけでなく、
関係者へ再度印鑑をお願いする必要が出てくるなど、大きな負担を強いられる可能性もあります。
当事務所では、毎月複数法人の改選手続きのサポートを行っており、
スムーズで正確な対応が可能です。安心してお任せください。
また、次回の任期満了時期についてもリマインドを行っておりますので、
「任期管理が面倒で不安…」という方も、ぜひお気軽にご相談ください。
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