相続による不動産の登記にかかるお金について

司法書士

先日、こちらのコラムで、数年以内に相続登記が義務化されそうですというお話をしました。

いざ、「相続登記に向けて動き出そう!」と思ったときに最初に気になることはやっぱりお金のことじゃないでしょうか。

当事務所にお電話で相続登記のお問い合わせをして下さるお客様も、やはり最初にこの金額を知りたいと仰られる方が多いです。

今回のコラムでは、「相続登記するのにはいくらくらいお金がかかるの?」という疑問にお答えしていこうと思います。

相続登記にかかるお金の種類

まず、相続登記をするときに何にお金がかかるのかを紹介していきます。

  1. 相続登記の登録免許税
  2. 必要書類の収集
  3. (司法書士報酬)

3をかっこ書きしたのはご自身で登記をする場合にはかからない費用だからです。

1と2については、ご自身で登記をする場合にも必ずかかる費用です。

それぞれ詳しくご紹介していきますね!

相続登記の登録免許税

これは、登記を申請する際に法務局で支払うお金(税金)のことです。

申請する登記の種類によって、かかる税金の計算方法が異なります。

相続登記の際、登記をする可能性の高いものとしては、次の3つがあります。

  1. 所有権移転登記(又は、●●持分全部移転登記)
  2. 抵当権抹消登記
  3. 配偶者居住権設定登記

1の所有権移転登記は、まさに不動産の名義変更登記そのものです。

この登記に税金がいくらかかるかは、不動産の価値(評価額)によって決まります。

不動産の評価額の確認方法は大きく二つあります。

一つ目は、不動産の所有者の自宅に毎年届く固定資産税課税明細書(固定資産税納税通知書と一緒に届きます)を確認する方法。

二つ目は、役所で取得する固定資産税評価証明書を確認する方法です。

いずれの書類の場合も、書類に記載されている評価額』に0.4%をかけることで法務局で支払う税金額が計算できます。(持分全部移転登記の場合は、更に被相続人が持っていた不動産の持分割合をかけます。)

例えば、被相続人が所有していた不動産が土地(評価額1500万円)と建物(300万円)だった場合、所有権移転登記にかかる税金は7万2000円です。

注意点は、不動産の評価額は毎年4月1日をもって新年度の価額に変わるということです。

令和2年4月1日~令和3年3月31日に登記の申請をする場合⇒令和2年度の固定資産税課税明細書(又は、固定資産税評価証明書)が必要。

令和3年4月1日~令和4年3月31日に登記の申請をする場合⇒令和3年度の固定資産税課税明細書(又は、固定資産税評価証明書)が必要。

となります。

次に2の抵当権抹消登記についてですが、これは被相続人が住宅ローンの団信に加入していた場合で、全額返済する前にお亡くなりになった場合に登記をすることになります。

こちらの税額の計算はとっても簡単で、不動産の数×1000円です。

土地1筆と建物1戸に登記されていた抵当権(合計2つの不動産の抵当権)を抹消するには、2000円の税金がかかります。

最後に3の配偶者居住権の設定登記ですが、これは令和2年の4月1日からスタートした制度です。

被相続人がお亡くなりになった時、被相続人所有の建物に配偶者が居住していた場合で、被相続人による遺言又は相続人全員による遺産分割協議によって、残された配偶者が取得することのできる権利です。

この配偶者居住権設定登記にかかる税額の計算方法は、先ほどの不動産の評価額に0.2%をかけることで計算できます。

建物の評価額が300万円のケースでは、6000円です。(※配偶者居住権は建物に居住する権利なので、土地に対して登記することはありません。)

必要書類の収集にかかるお金

続いて必要書類の収集にかかるお金についてです。

遺言の有無、誰が相続人になるか、遺産分割協議が必要か等によって必要な書類は異なります。

各書類の取得にかかる費用(単価)をご紹介します。

  1. 不動産の登記簿謄本 ⇒ 600円 ※窓口申請の場合
  2. 不動産の公図の取得 ⇒ 450円
  3. 戸籍謄本   ⇒ 450円
  4. 除籍謄本   ⇒ 750円
  5. 改製原戸籍  ⇒ 750円
  6. 住民票の除票 ⇒ 300円位 ※各自治体によって異なります。
  7. 住民票    ⇒ 300円位 ※各自治体によって異なります。
  8. 印鑑証明書  ⇒ 300円位 ※各自治体によって異なります。
  9. 評価証明書  ⇒ 400円  ※複数の不動産について取得する場合は、窓口の方に一番安く取得できる方法で取得したい旨お伝えすることをお勧めします。

必要書類のうち、集めるのに最もお金がかかるものが3~5の戸籍類です。

ケースごとで誰の戸籍が必要になるかは、こちらの記事をご参照ください。

司法書士報酬

司法書士にご依頼された場合は、ここまでご紹介させていただいたお金に加え、司法書士にお支払いいただく司法書士報酬がかかります。

司法書士報酬は、事務所によってまちまちですので、「いくらかかります!」と明確な数字は書けないのですが、当事務所の例でご紹介させていただきます。

  1. 所有権移転登記 ⇒ 1申請につき、5万5000円。(税込)※不動産評価額が5000万円を超える場合は、1000万円ごとに2750円(税込)の加算。
  2. 抵当権抹消登記 ⇒ 1申請につき、1万6500円。(税込)
  3. 配偶者居住権設定登記 ⇒ 4万4000円。(税込)
  4. 遺産分割協議書の作成 ⇒ 3万3000円~。(税込)※遺産分割協議書の内容量によって増額になります。
  5. 必要書類の代理取得  ⇒ 1通取得毎に、1650円。(税込)

2と3の登記をするケースはどちらかというとレアケースです。

1(所有権移転登記)のみ、又は1(所有権移転登記)と4(遺産分割協議書の作成)に加えて、ご自身で収集した書類で足りていないもののみを当事務所で代理取得するというケースが圧倒的に多いです。

1のみのケースであれば、必要書類の代理取得をして、7~8万円、

1と4であれば、必要書類の代理取得をして、10~12万円というイメージです。

まとめ

ここまで、相続による不動産の登記にかかるお金について、個別にご紹介してきました。

最後に一件、典型的な例で全体の価格をイメージしてみましょう

事例
  1. お亡くなりになった方が、土地(評価額1700万円)、建物(評価額300万円)を所有していました。
  2. 相続人は、被相続人の奥様、息子さん、お嬢さんの3人です。
  3. 土地と建物は遺産分割協議をして、奥様の名義に変更することにしました。
  4. 遺産分割協議書の作成、必要書類の取得を含め、全て司法書士に依頼することにしました。
かかる費用

所有権移転登記の税金 ⇒ 8万円

必要書類収集の実費 ⇒ 1万円~2万円程度

所有権移転登記の司法書士報酬 ⇒ 5万5000円

遺産分割協議書の作成の司法書士報酬 ⇒ 3万3000円

必要書類収集の司法書士報酬 ⇒ 2万4750円(15通と仮定)

合計金額 ⇒ 20万2750円~21万2750円

上記はあくまでもイメージですが、実際に事例のケースで司法書士に相続登記手続きの一切をご依頼いただいた場合は、これくらいの金額になるかと思います。

ご自身で手続する場合として比較して、節約できる時間、手に入れることのできる安心、これらを考慮していただき、司法書士への手続のご依頼を検討していただくきっかけになれば幸いです。

 

 

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