ビジネスパートナーとお金を出し合って株式会社を設立する際の注意点

会社設立

仲間と二人で半分ずつお金を出し合って株式会社を設立しようと思うんです!

こういう相談を時々いただきます。

ご友人との会社設立、ワクワクしますよね!!

私が、会社設立のお手伝いが大好きな理由は、ワクワクする挑戦のスタートに関われる仕事だからです。

その中でもお仲間と一緒に様々なアイディアを出し合って会社を設立されるお客様は、本当に活き活きとしていて私もエネルギーを分けてもらえるような感じがします!

ただ、一点気を付けなければならない大切なことがあります。

それは・・・

半分ずつお金を出し合って』という部分です。

「平等な関係で会社をスタートしたいから、出資金額は半分ずつがいいんです!」

という気持ちはとてもよく理解できるのですが、実はここには大きなリスクがあります!

順を追って説明していきますね。

そもそも会社に出資するとはどういうことなのか?

「会社に出資する」とはどういうことなのでしょうか?

会社にとっては、返還する必要のない資金を手に入れること。(ここが、借入と大きく異なるところです。借り入れたお金は当然ですが返還する義務があります。)

出資する人にとっては、会社への出資と引き換えに会社の株式を手に入れるということです。

それでは、株式を手に入れることによって得られるメリットはなんでしょうか?

ざっくり言うと3つあります。

  1. 株主総会で議決権を行使できること
  2. 会社から配当金をもらえること
  3. 会社が解散した時に会社に残った資産を分配してもらえること

そして、この3つうちの1つ目、つまり株主総会の議決権について、お金を半分ずつ出資することによって大きなリスクがあります

株主総会で決められること

株主総会という言葉は耳にされたことがあると思います。

では、その株主総会ではどんなことを決められるのでしょうか?

次の条文がその答えです。

会社法第295条第1

株主総会は、この法律に規定する事項及び株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項について決議をすることができる。

簡単な言葉に言い換えると、

株主総会では、その会社に関することならなんでも決議できますよ!

と言っています。

※ただし、取締役会を設置している会社を除きます。

じゃあ、どうやって決議するのでしょうか??

株主総会での決議の要件

株主総会の決議の要件には4種類あるのですが、そのうちの2種類は殆ど出番がないので、大切な2つをご紹介します。

株主総会で何かを決めなければいけなくなったとき、殆どのケースでは次の2つのうち、いずれかの要件に従って決議をしなければなりません。

1.普通決議

次の特別決議が必要なケース以外では、殆どこの普通決議を行います。

そして、絶対にこの普通決議を可決させる為に必要な議決権の数は全ての株主が持っている議決権の過半数です。

例えば、100株の株式を発行している会社でこの普通決議を絶対に可決させたいときは、合計で51株以上の株式を持っている株主の賛成を集めなければなりません。

2.特別決議

次に特別決議についてご紹介します。

会社にとって特に重要なことを決定する場合、この特別決議をしなければなりません。

分かり易いところでいうと、商号の変更、事業目的の変更、本店の移転(市区町村が変わる場合)、役員の任期変更、新株の発行による増資、合併、事業の全部譲渡、解散等です。

そして、絶対にこの特別決議を可決させる為に必要な議決権の数は全ての株主が持っている議決権の67%以上です。

例えば、100株の株式を発行している会社でこの特別決議を絶対に可決させたいときは、合計で67株以上の株式を持っている株主の賛成を集めなければいけません。

話を最初に戻しまして・・・

『半分ずつお金を出し合って』の何が問題なのか

なんとなく、御察しがついた方ももいらっしゃるかもしれませんが、半分ずつお金を出し合って株式会社を設立することの何が問題か。

それは、株主間で揉めてしまった時に会社が何も決められなくなってしまうということです。

設立時にビジネスパートナーの2人が、1株1万円として、50万円ずつ、合計100万円を出資して会社を設立した場合、通常は出資と引き換えに2人は同じ株式を50株ずつ取得します。

最初のうちは、意気投合して会社を始めた二人なので意見が割れることはあまりないかもしれません。

しかし、1年、3年とやっていく中で、どうしても考え方や、目指す方向のズレみたいなものは生じてきてしまう可能性はあります。

そんなとき、持っている株式が丁度半分ずつになっていると、株主総会で何も決議ができないという事態に陥ってしまいます。

もっと言えば、仮にどちらかが過半数の株式を持っていたとしても、67%以上の株式を持っていなければ大切なことは何も決められないのです。

その結果、大きなビジネスチャンスを逃してしまうということもあります。

こういう場合、話し合いは難航し、最終的にはどちらかがもう一方に対して株式を売却する(売る側は、会社から去る)という方法での解決策を試みる会社が多いのですが、売買価額も中々合意に至らず、会社が動けない時間は長くなるし、株主同士の関係もより悪化していくケースが非常に多いです。

当事務所で会社設立を対応させていただくケースでは、必ずこのような将来的なリスクを考慮し、お客様にご納得いただいた上で、最終的な出資比率を決めていただいております。

ちなみに合同会社の場合は

合同会社の場合、株式会社でいう株主総会に該当するものは、法律で定められていません。

合同会社で、会社の業務に関して決議をする場合、基本的には出資者(社員と言います。)の過半数の賛成によって決めます。

また、会社の重要なことを決めるときは、基本的には社員全員の賛成によって決めなければなりません。

上記のように、合同会社の場合、基本的には、出資者である社員は、その出資額に関わらず、一人一議決権です。(1円出資の人も、99万9999円出資の人も同じ1議決権です。)

しかも、重要なことは殆ど、全社員の賛成がなければ決めることはできません。

しかし、合同会社の場合、定款をかなり自由自在にカスタマイズすることが法律で認められています

その方法を使えば、例えば株式会社でいう株主総会に類似の『社員総会』を置いたり、『出資金額に応じて議決権を設定』したりすることができます。

当事務所にも合同会社設立のご依頼は多数いただいておりますが、定型の型で定款を作成するのではなく、お客様一人一人のご要望に合わせた定款を作成することでお喜びの声をいただいたております。

お仲間と一緒に会社設立を検討されているお客様は、是非当事務所までご相談をお待ちしております。

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