みなし解散された一般社団法人を復活させる方法とその費用

一般社団法人

前回の記事で「一般社団法人の役員任期は短い」という話をご紹介しました。

そして、5年間全く登記をしないとやがて『みなし解散』の登記を入れられてしまうことをお伝えしました。

この記事をご覧になられている方は、ご自身の運営する一般社団法人がみなし解散されてしまっている方も少なくないかと思います。

実際に事業を廃止されているようなケースでは、そのまま清算手続きをとって清算結了登記をすれば法人を消滅させることができます。

しかし、このページへお越しいただいた方は恐らく、「不本意にも」法人がみなし解散されてしまったという方が多いかと思います。

その場合一般社団法人の『継続』の手続をすることで法人運営を続けることができます。

一般社団法人の『継続』とは

一般社団法人の継続とは、解散された一般社団法人を一定の手続を経て解散前の状態に戻すことをいいます。

先ずは、条文をご紹介します。

 

【一般社団法人の継続】
一般社団法人は、第百四十八条第一号から第三号までに掲げる事由によって解散した場合(前条第一項の規定により解散したものとみなされた場合を含む。)には、第四章の規定による清算が結了するまで(同項の規定により解散したものとみなされた場合にあっては、解散したものとみなされた後三年以内に限る。)、社員総会の決議によって、一般社団法人を継続することができる。

 

今回はみなし解散された一般社団法人の継続なので、該当部分だけ抜き出して説明しますと

「みなし解散によって解散したものとみなされた一般社団法人は解散されたとみなされた日から3年以内であれば、社員総会の決議によって継続することができる。」

と書かれています。

条文にあるとおり、一般社団法人は『社員総会の決議』によって復活(継続)することができます。

なお、この決議は、法人の重要な決議の為、特別決議によるものとされています。(原則、総社員の半数以上であって、総社員の議決権の三分の二以上に当たる多数の賛成による決議)

そして、みなし解散された法人が継続の決議をできる期限は、みなし解散をされた日から3年以内となります。

3年以内であれば、社員総会の決議によって法人を解散前の状態に戻すことができますが、3年を過ぎてしまうと最早法人継続をすることはできませんのでご注意ください。

みなし解散された一般社団法人を復活させるのに必要な決議

前述のとおり、一般社団法人を継続するには社員総会の決議が必要です。

そして、この社員総会の決議を行う際、継続の決議に加えて理事の選任決議も必要になります。

監事設置一般社団法人の場合は、更に監事の選任決議も必要です。

また、各法人の規定に則った方法で代表理事の選定が必要です。(社員総会、理事の互選、又は理事会の決議で選定)

みなし解散の登記がされる時に理事の登記はすべて法務局の職権で抹消されてしまいます。

理事会を置いている法人は、理事会の存在も職権で抹消されてしまいます。

これは、解散した法人には理事は存在しなくなるからです。

従って、法人を継続する為には再度、理事の選任を行う必要があり、理事会を復活させるためには更に理事会を設置する旨の社員総会の決議をしなければいけません。

因みに、解散した法人にも監事は存在するので、監事の登記が職権で抹消されることはないのですが、みなし解散されている法人の監事の任期は確実に切れてしまっている(選任懈怠の状態)ので、監事を設置している一般社団法人は忘れずに選任の決議をするようにしましょう。(監事が不要な場合は、監事設置の定めを廃止する決議)

この辺り法人ごとに何をしなければならないか複雑だと思うので、判断に迷ったときは是非専門の司法書士へご相談ください。

みなし解散された一般社団法人を復活させるのに必要な登記

継続、理事の選任などの決議をしていただいた後、その登記の申請が必要になります。

まず、法人の継続をする上で最低限必ず必要な登記をご紹介します。

  1. 清算人、代表清算人の登記
  2. 法人継続の登記
  3. 理事及び代表理事の就任の登記

上記1についてですが、みなし解散がされた場合、継続の登記がされるまでの間、理事に代わって清算人が法人の手足となって職務を行います。

そして、みなし解散の場合は、解散される前に理事だった方々が自動的に清算人に、代表理事だった方が自動的に代表清算人に就任することになります。

継続の登記をする上でこの清算人の登記は省略することができない為、継続の登記、理事及び代表理事の就任の登記と併せて必ず申請が必要があります。

上記1から3の登記に加えて、監事を置いている法人では監事変更の登記、理事会を復活させたい法人は理事会設置の登記を申請します。

みなし解散された一般社団法人を復活させるのに必要な登記費用

ご自身で手続きを行う場合にも最低限必要な費用(法務局で支払う登録免許税)は、

4万9000円です。(清算人の登記=9000円、法人継続の登記=3万円、理事及び代表理事の就任の登記=1万円です。)

理事会を復活させたい法人の場合、登録免許税が更に3万円かかるので、7万9000円です。

また、登記費用そのものではないですが、これらの登記をすることで、後日裁判所から選任懈怠又は登記懈怠による過料通知が届く可能性も高いです。

手続を司法書士にご依頼される場合は、上記の外、司法書士報酬がかかります。

司法書士報酬がどのくらいかかるかは、お問い合わせいただければ直ぐにお見積もりをさせていただきますので、気軽にお問い合わせをください!

まとめ

今回は、みなし解散された一般社団法人を復活させる方法とその費用についてご紹介しました。

  1. みなし解散された一般社団法人は株主総会で継続の決議をすることで、解散前の状態に復活させることができる。
  2. 継続の決議をできる期限は、みなし解散をされた日から3年以内。
  3. 法人を継続をする場合は、継続の決議に併せて理事選任の決議(場合によっては監事選任、理事会設置の決議も)必要。
  4. 継続の登記の際は、最低限、清算人の登記、継続の登記、理事及び代表理事の就任登記が必要。
  5. 継続の登記に必要な費用は、最低4万9000円。申請内容によっては、7万9000円以上。司法書士にご依頼される場合は、別途司法書士報酬が必要。

継続の手続はイレギュラーな手続になりますので、ご自身ですべてを対応されようと思うと大きな手間と時間がかかってしまいます。

弊所では、みなし解散をされてしまった一般社団法人さんからのご相談を受けて継続の手続も多数対応させていただいております。

お困りの際は是非ご相談くださいませ!

 

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