戸籍の種類のハナシ

司法書士

身近な親族が亡くなって相続の手続きをしなければならなくなってしまった。

そんなとき、早めに着手した方がよいことの一つとして、『相続人の確定』があります。

相続人の確定というのは、亡くなった方の『相続人が誰なのか』を確定する作業です。

相続人が誰なのかというのは、亡くなった方が決めるわけではないですし、当然「私たちは相続人になります!」と立候補してなるものでもありません。

相続人が誰なのかは『法律によって決められています』。

そして、法律によって決められた相続人が誰なのかを特定するために『戸籍を集めます』。

「戸籍なんて集めなくても、うちは旦那が亡くなって、相続人は妻の私と子供二人だけですよ。」

と思われる方もいらっしゃるかもしれないです。

しかし、間違いなく亡くなった方の相続人が誰なのかを確認する方法は、亡くなった方の出生から死亡まで(兄弟姉妹が相続人の場合は、これに加えて亡くなった方の亡父母の出生から死亡まで)の戸籍一式を集める必要があります。

そして、相続による不動産の名義変更登記、金融機関の解約手続、証券口座の解約手続では、基本的にはいずれも戸籍一式を求められます。その理由は、他でもなく「相続人が誰なのか」を各機関が確認する為です。

※戸籍一式に代えて「法定相続情報一覧図」を提供することもできます。法定相続情報一覧図の説明は別コラムでしますが、法定相続情報一覧図を作成する為には、結局戸籍一式を集める必要があります。

※亡くなった方の作成した遺言がある場合は、必要な戸籍が変わります。(このケースでは、相続人全員を特定する必要はなく、『財産を受け取る人が遺言を書いた人の相続人であること』が確認できればOK。)

先ほどから、『戸籍一式』と何度も言っていますが、「ん?戸籍ってそんないくつも種類がある訳??」と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回のコラムでは、まさにその『戸籍の種類』について、ご紹介いたします。

戸籍の種類は3つ!!

戸籍には大きく分けると3つの種類があります。

その3つとは、

  1. 戸籍謄本
  2. 除籍謄本
  3. 改製原戸籍

それでは一つ一つ説明していきます。

戸籍謄本とは!

現在の戸籍』です。

戸籍謄本は、現在の戸籍の情報を記載した戸籍です。

戸籍謄本に記載されている人のうち、『除籍』と書かれている人を除いて、戸籍謄本には最新情報が載っています。

また、除籍と記載されている人についても、除籍の理由が『死亡』となっている場合は、その方についての最終の情報が記載されていることになります。

除籍理由が死亡以外の人については、更に最新の戸籍謄本(又は除籍謄本)が別途あります。

除籍謄本とは!

誰もいなくなった戸籍』です。

除籍謄本は、そこに名前が記載されている全ての人が何らかの理由で戸籍から除籍された後の戸籍です。

尚、戸籍から除籍される理由には、次のようなものがあります。

  • 戸籍に書かれていない人の養子になった。
  • 婚姻した。
  • 戸籍の筆頭者と離婚した。
  • 分籍した。(※分籍とは、戸籍の筆頭者とその配偶者以外で成年に達している方が現在の戸籍を抜けて新しい戸籍を作り、自らが戸籍筆頭者となることです。)
  • 他の市区町村へ転籍した。
  • 死亡した。

誰もいなくなった戸籍ですが、相続人の確定には、亡くなった方が生まれてから死ぬまでの全ての戸籍(戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍)が必要なため、相続手続きにおいて重要な書類です。

改製原戸籍とは!

『戸籍法の改正前の戸籍』です。

改製原戸籍とは、戸籍法の改正によって戸籍の様式が新しいものに変更されたことにより、「過去の戸籍」となったものです。

尚、改製された時期は、下記のとおりです。

  1. 明治19年
  2. 明治31年
  3. 大正4年
  4. 昭和23年
  5. 平成6年

このうち、昭和23年と平成6年は大きな改正が行われ、その以前と以後で戸籍の内容が大きく異なります。

 

以上、戸籍の種類について紹介しました。

現在の役所の運用では、『戸籍は本籍地ごとで管理しています。

例えば、亡くなった方が、

  1. 生まれた時の本籍地は北海道函館市、
  2. その後、大阪府大阪市に転籍して、
  3. 婚姻のタイミングで、奥さんと同居を始めた東京都足立区を本籍にし、
  4. 老後は、東京都世田谷区に引っ越したので、世田谷区に転籍して、死亡。

というようなケースでは、その方の出生から死亡までの戸籍を集めるには函館市、大阪市、足立区、世田谷区と合計で4か所の役所に各別に請求をかけなければいけません。

しかも、亡くなった方の本籍地がどこにあったか全て把握していないケースでは(把握されていないケースの方が多いです。)、死亡した時の戸籍から順番に遡って戸籍を収集していかなければいけません。戸籍を読みとくのも簡単ではないので、これが結構大変です。

当事務所へ相続の手続をご依頼いただければ、戸籍の収集代行も可能ですので、お困りの方は是非お問い合わせ下さい!

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