一般社団法人の主たる事務所の移転登記(本店移転登記)の方法

一般社団法人の主たる事務所を移転する場合、
「どの決議が必要なのか」「どこの法務局に申請するのか」で迷いやすいところです。

実際には、次の2つのポイントで手続きが分かれます。

  • 定款変更を伴う移転かどうか
  • 法務局の管轄をまたぐ移転かどうか

この記事では、一般社団法人の主たる事務所の移転登記について、必要な決議と登記申請の考え方をわかりやすく整理して解説します。

主たる事務所の移転登記は、まず2つの分岐を確認

主たる事務所の移転登記では、最初に次の2点を確認しましょう。

① 定款変更を伴うか

定款に記載されている主たる事務所の所在地を変更しなければならない場合です。

② 法務局の管轄が変わるか

移転前と移転後で、管轄する法務局が同じか、それとも別になるかを確認します。

この2つによって、必要な決議や申請方法が変わります。

定款変更を伴う移転かどうかで必要な決議が変わる

1.定款変更を伴う移転の場合

定款変更を伴う移転とは、定款に記載された主たる事務所の所在地を変更する必要がある移転をいいます。

一般社団法人の定款では、主たる事務所の所在地を市区町村まで記載していることが多いため、通常は別の市区町村へ移転する場合に定款変更が必要になります。

この場合、必要な決議は次のとおりです。

  • 社員総会の特別決議
    主たる事務所の所在地に関する定款変更を行います(一般法人法49条2項4号)。
  • 理事の過半数の賛成による決定(理事会設置一般社団法人では理事会の決議)
    移転後の具体的な所在場所と移転日を決定します。

つまり、定款そのものを変更する決議と、具体的な住所・移転日を決める決議の2段階が必要になるということです。

2.定款変更を伴わない移転の場合

定款変更を伴わない移転とは、定款に書かれた主たる事務所の所在地を変更しなくてよい移転です。

典型的には、同一市区町村内での移転がこれにあたります。

この場合は、社員総会の特別決議による定款変更は不要で、次の決議のみで足ります。

  • 理事の過半数の賛成による決定(理事会設置一般社団法人では理事会の決議)
    移転後の具体的な所在場所と移転日を決定します。

法務局の管轄をまたぐかどうかで申請方法が変わる

次に確認したいのが、移転前後で法務局の管轄が変わるかどうかです。

同じ市区町村内の移転であれば、法務局の管轄も変わりません。
一方で、別の市区町村への移転であっても、管轄法務局が同じというケースもあります。

そのため、住所だけで判断せず、実際にどの法務局が管轄しているかを確認することが大切です。

管轄法務局はこちらから調べましょう!

3.法務局の管轄をまたぐ移転の場合

法務局の管轄をまたぐ移転とは、移転前と移転後で管轄法務局が異なる移転です。

この場合は、移転前の管轄法務局移転後の管轄法務局の双方に関する登記申請が必要になります。

  • 登記申請は2か所分必要
  • 登録免許税は3万円+3万円の合計6万円
  • 申請書や添付書類は、いずれも移転前の管轄法務局へ同時に提出します

また、この場合は今まで利用していた法人の印鑑カードが利用できなくなるため、新しい管轄の法務局への新しい印鑑カードの交付申請も必要です。

  • 印鑑カード交付申請書

4.法務局の管轄をまたがない移転の場合

移転前後で法務局の管轄が変わらない場合は、その管轄法務局1か所に申請すれば足ります。

  • 提出先は1か所
  • 登録免許税は3万円

管轄をまたぐ場合に比べると、手続きは比較的シンプルです。

ケース別必要書類の整理

ここまでご紹介した各ケースにおいて、法務局への提出書類を整理します。

定款変更不要なケース(通常は同一市区町村内での移転のケース)

  • 理事の過半数の一致があったことを証する書面(理事会設置法人では理事会議事録)
  • 登記委任状(司法書士へ依頼する場合)

定款変更が必要で法務局の管轄を跨がないケース

  • 社員総会議事録
  • 理事の過半数の一致があったことを証する書面(理事会設置法人では理事会議事録)
  • 登記委任状(司法書士へ依頼する場合)

法務局の管轄を跨ぐケース

  • 社員総会議事録
  • 理事の過半数の一致があったことを証する書面(理事会設置法人では理事会議事録)
  • 登記委任状(司法書士へ依頼する場合)
  • 印鑑カード交付申請書

設立時の「とりあえずの住所」はできるだけ避けたい

法人設立時に、「とりあえずこの場所で主たる事務所を登記しておこう」と考えることもあるかもしれません。

しかし、設立後に主たる事務所を移転する場合は、上記のように次のような負担が生じます。

  • 移転登記の費用がかかる
  • 管轄をまたぐ場合は登録免許税が合計6万円になる
  • 住所変更に伴う(法務局以外への)各種届出も必要になる

そのため、やむを得ない事情がない限り、とりあえずの住所で設立するのは避けた方がよいでしょう。

まとめ

一般社団法人の主たる事務所の移転登記は、次の順番で整理するとわかりやすいです。

  • 定款変更が必要か
  • 法務局の管轄が変わるか

そのうえで、

  • 定款変更あり → 社員総会の特別決議+理事決定(又は理事会決議)
  • 定款変更なし → 理事決定(又は理事会決議)のみ
  • 管轄が変わる → 2か所分の申請、登録免許税は合計6万円
  • 管轄が変わらない → 1か所への申請、登録免許税は3万円

手続きにご不安がある場合は司法書士へご依頼ください!

一般社団法人の主たる事務所の移転登記は、定款の記載内容や法人の機関設計によって、必要な決議や書類が異なります。
「このケースは社員総会が必要?」「理事会決議だけで足りる?」「申請書や議事録の作成が不安…」という場合は、無理に進めず、司法書士へ相談するのがおすすめです。
当事務所でも、一般社団法人の各種登記手続に対応しておりますので、お困りの際はお気軽にご相談ください。

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