理事会設置の検討は慎重に

一般社団法人を設立する際、理事会を設置するかどうかは重要なポイントです。設立後に変更しようとすると、思わぬ費用が発生してしまうことがあります。

理事会を設置した法人で起こり得る問題

実際に、理事会を設置して法人を設立したお客様から、設立後まもなくして次のような相談を受けたことがあります。

「監事が自己都合で辞任することになったので、手続きをお願いしたいのですが…」

「次の監事は決まっていますか?」と伺ったところ、

「候補が見つからないので、監事自体廃止してしまってください」

との回答でした。

しかし、この場合、単に監事の辞任登記をすれば良いという話ではありません。

前提として、設立の際に理事会を設置した法人には、必ず次の登記がされています。

  • 「理事会設置法人」の登記
  • 「監事設置法人」の登記
  • 「監事の氏名」

これは、理事会を置く法人には、必ず監事を置かなければいけないためです。

もう少し分解して説明すると、次のような仕組みになっています。

◎理事会を設置する法人(理事会設置法人)は、監事を置く法人(監事設置法人)でなければならない

◎監事設置法人には必ず1名以上の監事を置かなければいけない(辞任または任期満了により退任した監事は、後任の監事が就任するか、または、監事設置法人の定めの廃止の登記がされるまで、引き続き監事としての仕事を続けなければいけない)

そこで、監事の辞任に伴い、新たな監事が決まらない場合は、次の対応が必要になります。

  1. 監事設置法人の定めの廃止(登録免許税 3万円)
  2. 理事会設置法人の定めの廃止(登録免許税 3万円)
  3. 監事の辞任登記(登録免許税 1万円)

合計で登録免許税だけでも7万円がかかります(司法書士に依頼する場合は、別途報酬が発生)。

設立直後の収入がない時期にとてつもなく痛い出費です・・・

逆のケースも注意が必要

反対に、法人設立後すぐに

「監事を就任させて、理事会を設置したい」

という場合も同じく7万円の登録免許税が発生します。

  • 監事の就任(1万円)
  • 監事設置法人の定めの設定(3万円)
  • 理事会設置法人の定めの設定(3万円)

また、理事の人数要件にも注意が必要です。
理事会を設置する場合は、理事が3名以上必要になります。理事が減ってしまい、3名を下回った場合は理事会を廃止しなければならないため、やはり追加の登記費用が発生してしまいます。

設立時にしっかり機関設計を考えよう

法人設立時に理事会を設置しても、設置しなくても登記費用や公証役場の手数料は変わりません
しかし、設立後に設置・廃止すると、多大な追加費用がかかるため、慎重に検討する必要があります(設立登記の登録免許税6万円に対して、監事の辞任に伴って7万円払うのはどう考えても痛過ぎる・・・)。

設立時役員の候補者には、このようなリスクがあることを説明し、役員就任を慎重に決めてもらうことが大切です。

法人設立時の機関設計は慎重に!

後から変更すると余計なコストがかかるため、設立前にしっかりと検討しましょう。

一般社団法人設立をご検討の際は、是非弊所へご相談ください!

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