令和6年4月1日より、相続登記が義務化されました。
相続登記義務化の施行前は不動産の登記(表示の登記を除く)をしなければならないという義務はありませんでした。
人から土地や建物を購入しても、その登記をするかどうかは、個人の自由でした。
しかし、この改正で初めて不動産登記に関して「しなければならない」というルールが開始しました。
ルールに違反した場合、過料(罰金)の規定も設けられています(ただし、過料が課せられるには条件があり、条件に該当する場合でも過料を課される前にいくつかの手順を踏むため、実際に過料を課せられるケースは現実的にはそこまで多く出てこないような気がします)
そもそもなんで不動産の登記をするの??
冒頭で、相続登記義務化が施行されるまでは「不動産の登記は義務ではなかった」とお伝えしました。
では、そもそも何故、義務でもない不動産の登記をしていたのでしょうか?
しないとどうなるの??という疑問があるかと思います。
民法に書かれているこちらの条文が、その答えになります。
”民法177条「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない」”
簡単に要約しますと、
「不動産を購入しても、名義変更の登記をしなければ、売主以外の人には『この不動産は僕の物です!』と主張できませんよ。」という意味です。
もっと言うと、不動産の売主が悪い人で、自分に不動産を売った後に、更に同じ不動産を別の人(「第三者」といいます)に売ってしまった場合、その第三者が自分よりも先に登記をしてしまったら、不動産を手に入れられないということです。
「払ったお金どうすんのよ!!」と思われると思いますが、そのお金は売主に返してもらうしかありません。売主はバックレていなくなってしまっているかもしれませんし、お金が無くなって破産してしまってるかもしれません・・・。こうなると泣き寝入りですね。。。
このように不動産の登記は、世の中の不動産の売買においてとっても重要な役割があります。
だから、感覚的に「不動産登記はするのが当たり前」なんです。
しかし、相続登記が義務化される以前は相続による名義変更登記は『放置されがち・・・』でした。
そしてそれが、相続登記が義務化された理由です(相続以外の理由で不動産を取得した場合の所有権移転登記は現在も義務ではありません)。
何故相続登記が義務化されたのか?
先ほど書いたとおり、不動産の登記は、世の中の不動産『取引』においてとっても重要な役割がありました。
じゃあ、何故相続による不動産の登記は放置されがちだったのでしょうか?
それは、相続による不動産の登記は、「取引」じゃないからです。
実は、相続により不動産を取得した場合、法律に規定された自分の取り分(不動産の「持分」といいます)は、登記をしなくても「この不動産は僕の物です!」と主張できます。
だから、登記を放置していても他人から横取りされてしまう危険性は不動産の売買や、贈与に比べて非常に低いです。
「放置してても自分のものって主張できるなら別に放置しておけばいいじゃん!なんで義務化されるの?」
と思われるかと思います。
相続登記を放置していると、やがて何が起こるでしょう?
それは、『新たな相続の発生』です。
相続人のうち、誰かが亡くなるとまた相続が発生し、相続人はねずみ算式に増えていってしまいます。
相続人が増えていくと何が起こるかというと、相続登記の手続きは複雑さを増し、また『相続人間で誰が不動産を取得するのか』や、『どうのように不動産を管理・処分していくのか』の話し合いがまとまらなくなっていってしまいます。
こうして手が付けられなくなった結果、最終的にはその土地が誰のものか分からない『所有者不明土地』になってしまいます。
この所有者不明土地の存在こそが、相続登記が義務化された理由です。
所有者不明土地って?
読んで字のごとく、「誰の土地なのか分からなくなってしまった土地」です。
所有者の分からない土地が日本の中にどれくらいあると思いますか?
実は、日本の面積の20%ちょっと。だそうです。
九州全土の面積よりももっと広いそうです。
この所有者不明土地の何が問題かっていうと、誰のものか分からないので、誰も手を付けられない状態になってしまっています。。。
日本の土地の2割以上が使えなくなってしまっているなんてとっても勿体ない話です。
まとめ
こういうと壮大なスケールの話になってしまって実感がわかないかもしれないですが、先の相続の件で考えてみてください。
自分が相続の登記を放置してしまったために次の世代か、そのまた次の世代で、自分が親族から受け継いだ土地が誰のものか分からなくなってしまったらとても悲しいですよね。
だから、相続登記の手続きは、必ずやっていただきたいです。
とは言っても何から手を付けていいか分からないのが普通ですよね。
そんなときは、相続登記の専門家である司法書士にご相談ください。
当事務所では、
「親族が亡くなって、相続財産に不動産があるのですが、何からしたらいいのか全く分かりません」というお客様や、
「主人が突然亡くなって遺言はありません。不動産の名義を私名義に変更したいけど、何からどうすればいいのか分かりません」というお客様、
「不動産の名義変更手続きをしたいけど、相続人が沢山いて混乱しています。」というお客様等、様々な事情でお困りのお客様からのご相談を受け、解決してまいりました。
不動産の相続登記でお困りの方は、ご相談をお待ちしております。
(参考:相続登記ガイドブック)