一般社団法人を自分で設立できますか?司法書士が注意点を解説します

一般社団法人を自分で設立できますか?司法書士が注意点を解説します

✅ 自分で一般社団法人を設立するのは不可能ではありません

「費用を抑えたい」「できるだけ自分でやってみたい」——
そう考えて、一般社団法人の設立を自分でやろうとしている方も少なくありません。

そもそも設立登記の申請は設立に際して代表理事になる方本人が申請するのが原則ですので、代表理事になる方が自ら登記申請して法人設立することは法的に何ら問題はありません(この申請代理人になることができるのは、司法書士と弁護士に限られます)。

今はテンプレート的な情報もネットにはあふれています。また、セルフ登記サービスなどもあります(なお、セルフ登記サービスは実質的に登記の申請代理行為をしているのと変わらないのではないかという意見もあり、法的にグレーな要素が強いです)。
したがって、『最低限の形だけを繕う』ことは誰でもそこまでの時間を使わずにできてしまいます。

ただし、
設立登記を終える=希望通りの法人ができる
とは限らない、という点に注意が必要です。

⚠️ 自分で設立する際によくある「あとで困る」パターン

当事務所にも、すでに法人を設立された方からのご相談が後を絶ちません。

たとえば、こんなケースがあります:

  • 非営利型の一般社団法人を設立して税制のメリットを受けたかったのに必要な要件を満たしていなかった
  • 法人設立後に指定申請を受ける予定だったにもかかわらず、事業目的に不備があった
  • 社員総会の議決権を有する社員と議決権を持たない会員とを分けて設計したかったが、全員を議決権を持つ社員としてしまっていたことにより、設立から数年して法人を乗っ取られてしまった

このようなミスを法人設立後に修正しようとすると、再度の定款変更や登記が必要になり、大きな手間と不要な費用(数万円〜十数万円)がかかります
(なお上記の乗っ取られてしまったケースでは、基本的に手遅れとなってしまうことが多いです…)

📦 セルフ登記サービスで設立した法人が「想定と違った」相談も多数…

「セルフ登記サービスで設立したけど、こんな法人にしたかったわけじゃなかった……」
そんなお声もよくいただきます。

テンプレートの定款では細かいニーズに対応できませんし、サポートも最小限にとどまります。

想定と違う形で設立登記を終えてしまった場合、設立後の修正には相当な労力と費用がかかってしまうケースが多いです。

⚖️ 専門家を名乗る非司法書士にも要注意

法人登記を専門にしている士業は司法書士だけです。また、法律上、法人登記を代理人として扱えるのは司法書士・弁護士の2士業に限られます。

「一般社団法人の設立手続きはお任せください!」と謳う行政書士のサイトも見かけますが、行政書士は登記を行うことができません。

したがって、行政書士に一般社団法人の設立手続きを依頼した場合は、途中(定款認証)までの対応となってしまいます。その後の手続きについては、自分で対応するか、別途司法書士へ依頼することになってしまいます(「ワンストップサービス」を謳っている場合も、結局のところ、定款認証は行政書士へ、設立登記申請は司法書士へ、と二段階の依頼が必要になることには変わりありません)。

この点、司法書士への依頼であれば、定款認証から設立登記申請まですべて司法書士が対応可能です。

それだけでなく、行政書士試験では一般社団法人の知識を問われる問題は一切出ません。

一般社団法人の法律(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律)は、会社法をベースに作られていますが、行政書士試験ではこの会社法も出題はほんの僅かです。

私が行政書士試験を受けたとき、大手予備校の講師にはこう言われました:「会社法は全部捨て問です。範囲も異常なほど多く、やっても正解できませんし、合否には全く影響ありませんので、本当に受かりたければやらないでください。」

もちろん中には行政書士としてのキャリアをスタートしてから一般社団法人について専門的な勉強をした行政書士さんも存在しますが、専門的な理解がないまま「(自称)専門家」として活動しているケースも多く見受けられます。

そういった場面に直面するたび、「言ったもん勝ち」な状況にモヤモヤすることもしばしばです。
ご依頼者様が、依頼する相手が一般社団法人について勉強している行政書士かどうかを見分けるというのは非常に難しい話だと思います。

👨‍⚖️ 一般社団法人設立に特化した司法書士に依頼するメリット

当事務所では、非営利型の設立や理想のガバナンス設計など、法人の目的や将来の運営形態に合わせたオーダーメイドの定款設計を行っています。

また、設立までの手続きもオンラインで完結可能。必要な書類のやり取りも段取りよく進められます。

その結果、無駄な手戻りを防ぎ、安心して設立手続きに臨んでいただけます。

🔗 詳しくは当事務所の【一般社団法人設立サポートページ】をご覧ください
👉 https://touki-morinari.com/lp-shadan/

📚 それでも「自分でやってみたい」という方へ

どうしてもご自身でやりたいという方もいらっしゃると思います。
その場合は、せめて1冊は専門書を読んでから着手することを強くおすすめします。

手前味噌ですが、私自身が執筆(共著)した書籍では、
社員の決め方・定款作成・定款認証・登記申請書と添付書類の作成・登記申請まで網羅的に解説しています。

👉『一般社団法人設立・登記・運営がまとめてわかる本』(日本法令)

🧭 まとめ|法人設立は「スタート地点の設計」が重要

一般社団法人の設立は、スタート地点の設計が非常に重要です。
「形だけ作ればいい」という姿勢で始めると、あとから大きな修正が必要になることも。

慎重に、でも確実に進めたい方は、ぜひ一度ご相談ください。

💬 初回のご相談は無料です

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