この記事では、一般社団法人設立の流れについて時系列に沿って解説しております。
ご一読いただき、一般社団法人設立時の全体像を掴んでいただければ幸いです。
① 設立時社員の決定
類似法人の一般財団法人が『財産の集まり』であるのに対して、一般社団法人は『人の集まり』です。
その人とは、法律上の言葉で『社員』と言われる人のことです。
社員は、株式会社でいうと株主的な立場の人のことです。
社員全員で開催する社員総会は、一般社団法人の最も重要な意思決定機関です。
集まりと言う以上、1人ではいけません。
一般社団法人の設立時には必ず2人以上の社員が必要になります(なお、社団の設立後は、社員が1人になっても問題はありません。ただし、社員が0人になった場合、一般社団法人は解散してしまうので要注意です。)
従いまして、「一般社団法人を設立しよう!」と思ったとき、最初にすべきことは、社員になる人を2人以上決めることです。
② 定款の作成
社員が決まったら次にやることは定款の作成です。
定款は、社員(正確には、『設立時社員』といいますが、ここでは単に社員と記載します。)全員が共同して作成するものとされています。
定款では、例えば次のようなことを決めます。
- 目的及び事業内容
- 名称
- 主たる事務所の所在地(市区町村までの決定でOKです)
- 設立時社員の氏名又は名称及び住所(社員は法人でもOKです)
- 社員の資格の得喪に関する規定⇒社団の設立後、どうやったら社員になれて、どうやったら社員資格を失うか
- 公告方法
- 事業年度⇒決算日
上記は、一般社団法人の定款を作成するうえで必ず定めなければならない事項です。
これらの外、定款を作成するうえで、
- 社団を営利型にするか、非営利型にするか
- 理事会を設置するか、設置しないか
によっても定款の内容が大きく変わりますので、定款作成の段階でよく検討する必要があります。
③ 印鑑証明書の準備
設立手続きに関して準備する必要のある印鑑証明書は次のものです。
- 社員の印鑑証明書(定款認証の際に必要)
- 理事の印鑑証明書(登記申請の際に必要)
いずれも使用するタイミングで3か月以内に取得した印鑑証明書が必要です。
なお、社員が役員を兼ねるケースも多いですが、その場合は、定款認証時に『原本還付』をすれば、兼任者の印鑑証明書は1通取得でOKです。
④ 定款認証
定款の最終版ができたら、主たる事務所の所在地の都道府県内にある公証役場で定款認証をします。
先ずは、公証役場に連絡をして、作成した定款の事前チェックをしてもらいます。この時、定款と一緒に実質的支配者の申告書も提出します。
実質的支配者の申告書は、下記のページよりダウンロードができます
9-4 定款認証 | 日本公証人連合会 (koshonin.gr.jp)
事前チェックで公証人から修正の指摘がある場合は、該当箇所を修正し、定款認証の予約を取ります。
定款認証は、予約日に予約した公証役場で行うのが基本ですが、オンライン通話による認証も可能です。
オンライン通話による認証を希望する場合は、予約時に必ずその旨を伝えましょう。
⑤ 設立時役員の決定
一般社団法人の役員には、理事(代表理事)、監事、会計監査人があります(会計監査人を置くケースは非常に稀だと思うので、以下省略します。)
一般社団法人を設立するうえで必ず決めなければならない役員は、理事(代表理事)です。
理事は、最低1人いればOKです。
ただし、理事会を設置する場合や非営利型の一般社団法人を選択する場合には、3人以上の理事を決める必要があります(非営利型の一般社団法人を選択する場合、理事はお互いに配偶者関係や一定の親族関係等があってはならない等の要件がある為ご注意ください。)
監事を置くかどうかも基本的には任意ですが、理事会を設置する場合は、必ず1人以上の監事が必要になります。
まとめると、
- 役員は、基本的には理事(代表理事)が1人いればOK。
- しかし、非営利型にする場合は、理事は3人以上必要。
- 更に、理事会を置く場合は、理事3人以上に加えて、監事1人以上必要。
となります。
なお、理事・監事は社員の議決権の過半数の一致により定めます。
理事会を設置しない一般社団法人の場合は、代表理事も社員の議決権の過半数の一致により定めます。
理事会を設置する一般社団法人では、社員が3名以上の理事を決めた後、理事の過半数の一致により、代表理事を定めます。
なお、上記の役員はすべて定款で定めることもできます。
定款で定める場合は、定款認証前に定める必要があります。
⑥ 主たる事務所の所在場所の決定
定款では、主たる事務所の所在地(市区町村まで)を決定しなければなりません。
具体的にな住所については、社員の議決権の過半数の一致のより定めます。
なお、主たる事務所の所在場所についても定款で定めることもできます。
定款で定める場合は、定款認証前に定める必要があります。
⑦(定款以外の)書類作成等
ここまで記載した手続の完了後、以下の書類を作成します。
- 設立時社員の決議書(定款で役員、本店所在場所を定めている場合は不要)
- 設立時役員の就任承諾書
- 印鑑届書
- 印鑑カード交付申請書
また、法人の実印として登録する印鑑の発注もここまでに終わらせましょう。
書類作成後は、個人の実印、法人の実印として登録予定の印鑑等で押印をします。
⑧ 登記申請
①~⑦までの手続が完了しましたら、いよいよ登記の申請となります。
登記の申請日は、法人の設立日となります。
法人の設立日は、設立後に変更できないので、希望の設立日がある場合は、手続の開始時から逆算してスケジュールを組みましょう。
なお、法務局は土日祝日はお休みで申請を受け付けていないので、土日祝日を法人設立日とすることはできません。
登記申請日が法人の設立日となりますが、申請日から登記完了日まで法務局の審査に約1週間程かかります。
審査が完了するまでは法人の謄本や印鑑証明書の取得ができないので、その期間も含めてスケジュールをご検討ください。
最後に・・・(弊所の宣伝です笑)
本記事では一般社団法人の設立の流れについてご説明させていただきました。
全体の流れのイメージは掴んでいただけたでしょうか。
今回記載いただいた内容はご自身で手続きをされる場合を想定して記載いたしましたが、
司法書士にご依頼いただいた場合は、上記手続の大部分を司法書士で対応させていただきます。
弊所にご依頼いただいた場合ですと、お客様にご対応いただく事項は下記のとおりです。
- 初回お打ち合わせ(オンライン、電話対応)
- 弊所からの質問シートへのご記入
- 社員様、役員様の印鑑証明書のご準備
- 弊所で作成した書類への押印対応
- 登記費用のご入金
- (法人実印のご準備)※ご要望があれば実費のみで弊所での手配が可能です。
手続の時間を大幅に削減していただけるだけでなく、お打ち合わせ時にしっかりとヒアリングを行い、お客様のご要望に沿った定款の作成をいたします。
司法書士事務所は沢山ありますが、一般社団法人の手続をメインで対応している司法書士事務所は、非常に少ないと思います。
弊所は、これまで様々な業種で、数多くの一般社団法人設立のお手続きを対応し、お客様からご満足いただいております。
是非、一般社団法人設立をご検討の際は、一度弊所へご連絡をいただけますと幸いです!